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【入管】VTuberとバーチャルシンガー向け在留資格(再考)

日本国内はもちろんのこと、海外でも「VTuber」(ここでは「ライバー」、「ストリーマー」を含みます。)の人気が盛り上がりをみせています。2次元・3次元のキャラクターを身にまとい、ゲーム、雑談、クイズなどに関して動画配信を行うことで、ファンを獲得し、広告収入だけでなく、投げ銭(スパチャ)、メンバーシップやグッズ販売による収入を獲得するビジネスモデルで、今では日本だけでなく、韓国、アメリカ、インドネシアなど、海外でも広がっています。VTuberの中には数百万人もの登録者数を誇るVTuberもいることから、その人気ぶりがうかがえます。

また、歌をメインに活動する「バーチャルシンガー」の活躍も無視できず、日本武道館で単独ライブを行うような方も現れ、バーチャルとリアルの垣根を越えた活躍からは、まさしくSFさながらの近未来の実現を予感させます。

このように、VTuberあるいはバーチャルシンガーになることを夢見ている方も多いのではないでしょうか。バーチャルな存在であるからこそ、性別・人種・国籍・住んでいるところにかかわらず活躍することができる点もその魅力といえます。

しかし、リアルコンサートや収録などの関係で、外国籍の方が日本に滞在しながらこうした活動を行う場合には、日本の入管法が適用されることから、「在留資格」(ビザ)の手続選択・戦略が極めて重要です。

以前、「【在留資格】Vtuberの在留資格についての一考察」という記事を公開しました。

その後、実際にVTuberの在留資格についての問い合わせをいただいたり、令和5年に「興行」のルール(基準省令)が改正されたこと、「日本版デジタルノマドビザ」の制度化が行われたことから、関連情報を加えてアップデートする必要が出てきたため、今回この記事を作成することにいたしました。

なお、今回は、収録・配信などの活動を行う外国人VTuberが、その活動に関して対価を得ることを前提としています。対価が何ら発生しない場合には、いわゆる就労活動にあたらないため、「短期滞在」あるいは「文化活動」などの在留資格も想定されます(詳細は上記の記事をご参照ください。)。就労制限がない「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」及び「定住者」の在留資格並びに特別永住者については対価を得ることについて入管法令上の規制がないことから、ここでは触れません。

また、活動内容や活動の程度、所属する企業の状況や活動の場所等により入管の判断が異なる場合があります。この記事は一部筆者の推論を含むため、あくまでも参考程度とし、活動や申請前に各地方の入管あるいは当事務所にご相談ください。相談をしないまま申請したり活動した結果の不利益や損害について、当事務所は責任を負いません。


【VTuber】属性からみる在留資格・許可

VTuberと一言で言っても、その属性により大きく分けて2つあります。

タイプA:VTuber事務所などに所属する「企業勢」

タイプB:VTuber事務所などに所属せず自分自身で活動する「個人勢」

ご自身の目指すスタイルに合わせて、それぞれの在留資格を見ていきましょう。


【タイプA:企業勢】在留資格「興行」

日本のVTuber事務所やプロダクションと契約して活動するなら、この「興行」ビザが最も馴染む在留資格です。

雑談、ゲーム実況配信、歌唱収録・配信、バラエティ番組の収録など、所属事務所等から仕事として依頼される活動が対象です。

事務所やプロダクションとの契約を行い、活動の対価として「報酬」を得る必要があります。この報酬については、動画配信サービスからの広告収入を直接受け取るのではなく、会社からの給与あるいは委託料として報酬を受けます。

「興行」には大きく分けて2つのカテゴリー(「興行に係る活動」と「その他の芸能活動」)があり、収録・配信が中心的な活動になるVTuberは後者が該当するものと考えられます。具体的には、「商品又は事業の宣伝に係る活動」、「放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の制作に係る活動」、「商業用写真の撮影に係る活動」あるいは「商業用のレコード、ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動」のいずれかにあたる活動が対象です。

詳しくは下記のページをご参照ください。

https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/entertainer.html

なお、この場合は「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること」という要件もあるため、日本人VTuberと比べて合理的な理由がなく報酬が低い場合は要件を満たさないため、注意してください。


【タイプB:個人勢】在留資格「経営・管理」、「特定活動(デジタルノマド)」、「資格外活動許可」の取得など

個人勢のVTuberとしての活動を行う理由は様々かと思います。オーディションなどを通じてVTuber事務所等に入ること自体のハードルもありますが、自分自身でキャラクターや配信の企画・収録・動画編集・配信まで自由に行いたいという方や、学業・本業を優先して活動を行いたい方など。

こうした個人勢として想定される在留資格としては、「経営・管理」、「特定活動(デジタルノマド)」の他、何らかの在留資格を保有したうえで「資格外活動許可」を取得し、その許可の範囲内での活動が考えられます。そういう点では、企業勢よりも判断が複雑になります。


1.「経営・管理」

VTuber事務所やプロダクションには所属せず、自らフリーランスあるいは経営者としてVTuberの活動を(あるいはVTuber事務所を経営)する場合に想定される在留資格です。これは、法律上「興行」の在留資格から「経営・管理」の活動を除外している関係で、「経営・管理」が優先適用されるためです。

株式会社などの法人だけでなく、個人事業主でも「経営・管理」の対象です。

広告収入やスパチャ、グッズ販売やイベントの売上などが見込まれ、日本国内で本格的に事業として行う場合に最も向いている在留資格です。

しかし、元々VTuberとして人気があり、それなりの収入が見込めるのでなければ、要件や在留資格の維持の点(一定額以上の出資、具体的な事業計画、経営の安定、事務所と住居を物理的に分けなければならないなど)で相当ハードルが高い在留資格といえます。

また、主に「経営」や事業の「管理」を行うことが想定された在留資格のため、動画編集などの作業を自ら行うことがどの程度認められるかの明確な基準がありません。動画編集などの作業を外注あるいはスタッフを雇用するなどして、自分自身の活動を経営にフォーカスしなければ許可されない可能性があります。

詳細については下記を参照してください。

https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan43.html

なお、動画配信の広告収入のみでは一般的には「報酬を受ける活動」にあたらない、つまり、「興行」の対象にはならず、「経営・管理」を選択することになるはずですが、実務家の間の情報では、広告収入であっても「興行」の対象として認められたケースもあるようです。いずれにしても、活動・申請前に管轄の地方入管に相談しておくのが望ましいでしょう。


2.「特定活動(デジタルノマド)」

「デジタルノマド」は、「国際的なリモートワーカー」とも呼ばれ、世界中旅をしながらリモートワークをして生活をするライフスタイルとして近年注目を集めています。

この在留資格は「デジタルノマド」のような外国人を対象とし、リモートワークをして収入を得ながら日本国内の観光ができます。

この在留資格は、年収要件として1,000万円以上、査証免除国・租税条約締約国の方が対象で、年6ヶ月間の在留が認められ、観光と就労の中間に位置するやや特殊な在留資格です。

例えば、既に上記の年収を既に得ている方で、半年程度の滞在をしながら対価を得る配信活動をする方は、この在留資格が向いているでしょう。年収は配信活動の収入に限られるわけではなく、複数の安定的な収入を合算してその額があると認められれば問題ありません。

企画の内容次第では、モバイルPC等での収録・配信もできると思いますので、ひとつの選択肢として頭に入れていただけるとよいと思います。

デジタルノマドビザの解説については、筆者が執筆した下記の記事をご覧下さい。

https://digitalnomad-workation.com/blog/what-is-japan-digital-nomad-visa-designated-activities-system

なお、この在留資格を保有中は、日本国内の企業から雇用されたり請け負って仕事をすることは認められておりませんので、例えば企業勢として日本の事務所に所属して報酬を得ることはもちろん、日本の「案件」を受けようとする場合にも注意が必要です。(下記Q&AのQ2)

https://www.moj.go.jp/isa/content/001422244.pdf


3.「資格外活動許可」の取得

既に「留学」、「家族滞在」、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格を有して日本に滞在している方で、「経営・管理」と「特定活動(デジタルノマド)」の在留資格ヘの変更が厳しい方は、「資格外活動許可」を取得することもひとつの手段となります。

そのためには、今ある在留資格で求められている活動の邪魔にならないことが前提になります。

例えば、日本語学校で学ぶ外国人留学生が、学校にしっかり出席して勉強を行い、学校が終わった後にVTuberとしても継続的に活動を行い収入を得る場合が考えられます。

配信活動に伴う収入が多くない方にとって最有力の手段と考えられます。

ただし、資格外活動許可は、週28時間以内のアルバイトなどのために認められることが一般的です。完全な時給制が求められているわけではありませんが、収録、編集、配信などの活動の時間をログなどで記録できるようにし、(どの日から計算しても)週28時間以内に収まっていることを証明できるようにしておく必要があります

その他、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を有して、空いた時間にVTuberとしての活動で対価を得るような場合には、個別事情を踏まえて資格外活動許可がされる可能性があるかもしれません(残念ながら、許可されたという実例は聞いたことがありません)。

なお、趣味で行った無償の配信活動で、たまたま収入を得たような場合(反復継続的でない場合)には、資格外活動許可がいらないという判断もありますが、通常、広告収入は繰り返し活動を行って登録者数や閲覧数を高めていくことが想定されるため、あまり参考にしないほうがよいでしょう。


【特別編】音楽活動が中心の「バーチャルシンガー」向け解説

リアルのコンサート会場で多数の観客の前で歌うバーチャルシンガーは、「興行」の在留資格として「興行に係る活動」に該当する可能性があります。

(バーチャルシンガーではない)一般的なアーティストのコンサートでのライブを行う場合と同じ判断となるかと思います。例えば海外の人気VTuberが、日本でリアル公演を行うために来日する場合はこのパターンでの在留資格が考えられます。

ところで、動画配信を中心に活動していた企業勢の外国人VTuberが、前述の【タイプA:企業勢】在留資格「興行」の「その他の芸能活動」として在留許可を得ていたところ、シンガーとしての活動も人気となり、日本のリアル会場でコンサートを行うような場合は入管法上適法なのでしょうか。

この点については私見ですが、そもそも「興行」の在留資格が「興行に係る活動」と「その他の芸能活動」を含めて1つの在留資格を構成しています。そして、不法就労となるのは、この在留資格で認められない就労活動であるため、「興行」の在留資格を有していれば、いずれの活動を行っても不法就労とはならないはずです。

もっとも、「興行に係る活動」と「その他の芸能活動」とでは、所属する企業や出演する舞台・控室に一定の規模が求められるなどの基準が異なっており、この基準に満たない場合には在留期間の更新が認められない可能性があります。

そのため、リアル会場でのコンサートまで行う場合には、これらの基準を満たすような会場や企業側の要件などを満たすようにして活動することが肝要です。


おわりに

VTuberあるいはバーチャルシンガーになることは、これからの時代にとって自己実現・自己表現の強力な手段、そして文化になっていくのだと、私は強く思います。

活動の場所は動画配信サービスに限らず、メタバースやリアルにも広がり、クリエイターの技術や生成AIの進歩に合わせて、よりハイクオリティで感動させられるものが生み出されていくでしょう。

そうした文化の一助として、この記事や弊所の活動がお役に立てましたら光栄です。

(加々美)


【参考】

「【在留資格】Vtuberの在留資格についての一考察」 加々美行政書士事務所

「在留資格「興行」」 出入国在留管理庁

https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/entertainer.html

「在留資格「興行」に係る上陸基準省令等の改正について」 出入国在留管理庁

https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00150.html

「日本のデジタルノマドビザ 「特定活動」の制度とは」 デジタルノマド&ワーケーションラボ https://digitalnomad-workation.com/blog/what-is-japan-digital-nomad-visa-designated-activities-system

「在留資格「特定活動」(デジタルノマド(国際的なリモートワーク等を目的として本邦に滞在する者)及びその配偶者・子)」 出入国在留管理庁https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/designatedactivities10_00001.html

「資格外活動許可について」 出入国在留管理庁

https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00045.html

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