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日米地位協定に基づいた米軍の軍人等の日本での滞在について

1)はじめに

日本国内に駐留する在日米軍の軍人等は通常「日米地位協定」(SOFA)に基づいて滞在しています。

この方々が、どのような法的根拠に基づいて日本に滞在しているのか、また、米軍との関係がなくなった後、適法に日本に在留するためにどのような手続きを取れば良いのかを簡単に解説します。

2)日米地位協定に基づく滞在

そもそも、日本国籍を持たない者(外国人)が、日本に適法に滞在するためには、原則として入管法に基づく在留資格が必要です(入管法2条の2第1項)。(※この例外として、例えば入管特例法に基づく特別永住者があります。)

しかし、合衆国軍隊の構成員(米国の軍人)、軍属、およびそれらの家族については、日米地位協定に基づき、在留資格を有していなくても日本に滞在できます。

日米地位協定1条

(a) 「合衆国軍隊の構成員」とは、日本国の領域にある間におけるアメリカ合衆国の陸軍、 海軍又は空軍に属する人員で現に服役中のものをいう。

(b) 「軍属」とは、合衆国の国籍を有する文民で日本国にある合衆国軍隊に雇用され、これ に勤務し、又はこれに随伴するもの(通常日本国に居住する者及び第十四条1に掲げる者を除く。) をいう。この協定のみの適用上、合衆国及び日本国の二重国籍者で合衆国が日本国に入れたものは、合衆国国民とみなす。

(c) 「家族」とは、次のものをいう。

 (1) 配偶者及び二十一才未満の子

 (2) 父、母及び二十一才以上の子で、その生計費の半額以上を合衆国軍隊の構成員又は軍属に依存するもの

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/kyoutei/pdfs/01.pdf

日米地位協定9条2項

合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国の法令の適用から除外される。

https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/sfa/kyoutei/pdfs/09.pdf

日本の法律と条約については条約が優越すると解釈されています。

したがって、日米地位協定1条に該当する者は、原則として日本の在留資格制度の適用を受けないものとして、在留資格は要求されません。

3)日米地位協定に該当しなくなった場合

では、これらの者が日米地位協定に該当しなくなり、日本に引き続き適法に滞在するためにはどのようにするべきでしょうか。

まず、前提として、軍籍等を離脱(日米地位協定上の地位や身分を喪失)した日から60日までは日本に適法に滞在することができます。(入管法22条の2第1項)

これは、軍籍等を離脱した瞬間に不法残留となることを回避しつつ、出国の準備や在留のための手続きを認める趣旨であると考えられます。

軍籍等を離脱後、一旦帰国する場合、通常の手続きと同じく、在留資格認定証明書(COE)を交付してもらい査証発給を受けるといった方法で、再び日本に入国することになると考えられます。

他方、軍籍等を離脱後、帰国せずにそのまま日本に滞在する場合、滞在可能な60日を超えると不法残留となり、退去強制と刑罰の対象となってしまいます。

そこで、入管へ「在留資格取得許可申請」(入管法22条の2第2項)を行う必要があります。

「在留資格取得許可申請」は、何らかの理由で在留資格を有していない者が、在留資格を取得するための手続きです。

軍籍等を離脱してから30日以内に行う必要があります。(※申請は30日以内であり、滞在が認められる60日以内ではありませんので、ご注意ください。

軍人と軍属については、軍籍を離脱する前に「仮離脱許可書」を得て軍籍の離脱前に申請が受け付けられる運用になっています。

この申請を行い、在留資格の取得が許可されれば、在留資格が付与され、適法に日本に在留することができます。

記事作成者:加々美

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