【在留資格】「特定活動」とは
在留資格はいくつも存在し、名前が似ているものもあるため、
なかなかわかりづらいものです。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」、「技術」、「技能実習」、「特定技能」、「特定活動」、
これらは似たような言葉を使っています。
そのため、用語を誤用するケースが多いのですが、それも致し方ないでしょう。
今回は、このなかでも特に一般的に馴染みがない「特定活動」について解説しようと思います。
「特定活動」とは、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」とされています。
通常、在留資格は、活動の内容や地位(身分)によって定められるので、
在留資格ごとに何ができるのかがある程度法令で定められています。
しかし、既存の在留資格では想定されていない活動であっても、
人道的な配慮が必要な場合など、日本に在留すること認めるべきことがあります。
そこで、「特定活動」という在留資格で、
既存の在留資格の足りない部分を補うことになります。
さて、こうした「特定活動」ですが、申請があるごとに法務大臣が「個々に」判断するとなると、
非常に手間がかかるのは目に見えています。
そこで、一定の類型を予め「告示」として定めて在留を認めるもの(いわゆる「告示特定活動」)と、
「告示」がなくても在留を認めるもの(いわゆる「告示外特定活動」)があります。
告示があるものとしては、有償のインターンシップ、ワーキングホリデーなどが比較的有名ですが、
それ以外にも、EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者・看護師候補者の受け入れなどでも利用されています。
では、告示がない特定活動については、全く基準のようなものがないのかというと、そうでもなく、
上記のコロナの特例など、対象者や要件が入管庁のウェブサイトで公開されている類型があります。
これにより、告示に近い運用がなされますが、告示がある「特定活動」とは異なり、
告示がない「特定活動」では、新規入国の段階から「特定活動」の在留資格で入国ができないことになっているのが大きな特徴です。
そのため、一旦「短期滞在」など別の在留資格で入国後、「特定活動」への在留資格に変更する必要があります。
最近では、新型コロナウイルス感染症の影響で帰国ができなくなってしまった方のため、
「特定活動」を付与する特例的な運用がなされました。(2022年3月17日時点)
また、ミャンマーのクーデターでも同じく、難民でなくても「特定活動」を付与し、
人道的配慮をするという運用も行われています。(2022年3月17日時点)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00036.html
さらに、昨今のロシア軍のウクライナ侵攻による避難民などに対しても、「特定活動」を付与し、
日本に滞在することが認められるようになりました。(2022年3月17日時点)
https://www.moj.go.jp/isa/publications/materials/10_00088.html
さて、このような「特定活動」ですが、在留カードを見ても、どういった理由で与えられた「特定活動」なのか、どのような活動・仕事ができるのかはわかりません。
この場合、パスポートに「指定書」というものが留められることになっているので、
それを確認することで、活動の範囲をある程度知ることができます。
ただし、その書き方が難しいことも多く、一般の方は入管庁に確認するのがベストです。
告示のない「特定活動」はあくまでも「先例」と理解するのがよく、
運用の変更に注意しなくてはなりません。
適宜、行政書士・弁護士や、入管庁に相談するのが良いでしょう。