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【在留資格】犯罪歴のある外国人の入国

観光目的以外の外国人の方が、就労目的や婚姻などによる居住目的などで入国(上陸)する場合、在留資格認定証明書などを取得することがほとんどでしょう。

在留資格認定証明書交付申請書の欄には、

犯罪を理由とする処分を受けたことの有無 (日本国外におけるものを含む。)※交通違反等による処分を含む。 

Criminal record (in Japan / overseas)※Including dispositions due to traffic violations, etc.

という記載があり、犯罪歴等を申告する必要があります。

(なお、在留期間更新や在留資格変更の申請も同様です。)

この記載は犯罪歴等のある外国人の方にとって非常に重大なものであり、正直に記載すれば、審査に不利となるイメージから、正直に記載したくないかもしれません。

しかし、上陸拒否の対象となる犯罪歴があるのに、それを隠して許可・交付された場合、在留資格の取消事由(入管法22条の4第1項1号)にあたり、退去強制の対象となります(法24条1項2号の2)。

その上、刑事罰の対象にもなります(法70条1項2号の2)。

そのため、必ず正直に犯罪歴を申告する必要があります。


【犯罪歴があれば絶対に入国できないか】

さて、犯罪歴があれば絶対に入国できないのかというと、そうでもなく、

①犯罪の内容

②刑罰の内容

③上陸拒否の特例 or 上陸特別許可 が認められるか

によって変わると言えます。

以下では、一般的な刑罰法令違反(法5条1項4号)と薬物系の犯罪(5号)を対象とする上陸拒否事由について整理します。

それ以外の上陸拒否事由については入管法5条1項各号の条文をご確認ください。

売春や薬物所持など、処罰されていなくても行為そのものによって上陸拒否されるものもあります。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326CO0000000319

①犯罪の内容

・「麻薬、大麻、あへん、覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられた」場合 → 上陸拒否の対象です(5号)

・「政治犯罪により刑に処せられた」場合 → 上陸拒否事由にあたりません(4号ただし書)

・それ以外の法令に違反して刑に処せられた場合(日本国又は日本国以外のいずれも対象) → 次の②を確認します。

②刑罰の内容

・「1年以上の懲役若しくは禁固又はこれらに相当する刑に処せられた」場合 → 上陸拒否の対象です(4号本文)。

なお、執行猶予となった場合、執行猶予期間中あるいは執行猶予期間を無事に経過するなどして刑の言い渡しの効力が消滅しても、「処せられた」とするのが行政見解です。

そのため、この行政見解によれば、一生、上陸拒否の対象となってしまいます。

③上陸拒否の特例 or 上陸特別許可 が認められるか

前述①②により上陸拒否の対象となる場合、以下の「上陸拒否の特例」か「上陸特別許可」の適用を受ける必要があります。

・在留資格認定証明書交付申請や査証申請の際に犯罪歴を申告し、上陸が相当と認められる場合 → 上陸拒否の特例(法5条の2、法規則4条の2第1項2号)が適用され、その上陸拒否事由によっては上陸拒否はされません。上陸拒否の特例が認められると、「通知書」が交付されます。

・上陸拒否の特例によらず、入国時の上陸審査の際に犯罪歴を申告する場合 → 上陸特別許可を得る必要があります(法12条1項)

ただし、上陸特別許可は厳格な審査がなされ、許可される保証もない以上、余程の理由がない限り、「上陸拒否の特例」の適用によるのが安全でしょう。


なお、日本へ入国した後に犯罪を犯して処罰されると、退去強制にはならないのに、再入国(上陸)ができなくなる場合があります。(居られるけど、戻ってこられない)

その場合、一時帰国などで出国する前に、必ず再入国許可申請をし(簡易な「みなし再入国」では認められません)、上記③の上陸拒否の特例の適用を受けてから出国するようにしましょう。

(加々美)

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