在留資格「経営・管理」と宿泊業
【在留資格「経営・管理」について】
外国人の方が経営者あるいは管理者として働くための在留資格として、「経営・管理」があります。
一般的に「投資ビザ」と呼ばれますが、平成27年4月の入管法改正前は「投資・経営」という在留資格だったことの名残ではないかと思われます。
事業主体となるのは株式会社や合同会社などの法人だけでなく、個人事業主でも不可能ではありませんが、一般的には株式会社を設立して500万円以上を出資するケースが多く見られます。
【株式会社を設立して在留申請をする場合の手続きのおおまかな流れ】
1.資金・事業計画の用意、事業所の確保など
2.会社設立手続き
3.必要な許認可の取得
4.在留資格申請(認定証明書交付、在留資格変更許可)
5.入国・許可
【在留資格認定証明書交付申請の注意点】
プランの検討から会社の設立、許認可の取得、在留申請から入国まで、通常は数ヶ月以上かかります。
在留の許可・交付の可能性、立証方法、全体的なプロセスとスケジュール、コストの見立てをしっかりしておかないと、想定外の時間や費用を無駄にしてしまう可能性があります。
申請の許可・交付のためにいくつかの重要なポイントがあることから、「経営・管理」についての手続きは、必ず行政書士に相談しましょう。
また、事業開始後の税務や社会保険等の手続き・相談もできるように、税理士や社会保険労務士などの専門家との連携もしておきましょう。
【宿泊業との関係】
「経営・管理」の在留外国人が、事業として宿泊業を行う場合に注意すべき点は次のとおりです。
まず、許認可(旅館業許可あるいは住宅宿泊事業届出など)の取得は、事業の適正性要件のために必要です。
次に、清掃やベッドメイキングなどの現業業務について、従業員を雇用して行うのか、外注するのか、明確にしておくことが重要です。
それらの業務を他人に任せず、「経営・管理」の外国人が自ら清掃・ベッドメイキングまで行い、それが在留活動全体のなかで主たる活動となると、違法な資格外活動と判断されてしまうリスクがあります。
なお、清掃スタッフとして外国人従業員を雇用する場合、その従業員の在留資格にも注意しましょう。
清掃やベッドメイキングの作業をメインに活動できる在留資格は限られており、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で「通訳もさせるから大丈夫」などと思って安易に雇用することのないようにしましょう。
名目だけの「通訳」では、資格外活動として更新が不許可になったり、最悪の場合、関係者が不法就労助長として処分・処罰される可能性があります。
外国人の雇用の前に、必ず行政書士等の法律専門家や入管に相談してください。
【「家族滞在」と「経営・管理」】
「経営・管理」として在留する方の配偶者や子で、「家族滞在」として日本に呼び寄せることを検討する場合があります。
「家族滞在」は原則として就労できず、就労するためには資格外活動許可が必要になります。
以上のように、「経営・管理」は手続き面でも事業運営の面でも、しっかりとした計画のもとで進めることが重要となります。
(加々美)