民泊やホテルなどでバーベキュー食材を提供する場合
民泊やホテルなどでバーベキューの利用のニーズが高いことから、バーベキュー食材の提供をしたいがどうしたらよいのかというご相談を多くいただきます。
そこで、今回は、バーベキュー食材の提供をする場合の許認可について書いてみようと思います。
※以下、近年の改正食品衛生法に基づいた記載となっていますが、管轄の保健所によって対応が異なる場合があります。事業の準備・実施にあたっては、必ず管轄の保健所かお近くの行政書士にご相談いただくようにお願い致します。
【改正食品衛生法】
バーベキュー食材の提供に関しては食品衛生法が重要です。
改正食品衛生法が令和3年6月1日からスタートし、以前までの規制とは異なる点が多々あります。
改正食品衛生法の詳細については以下のリンクをご参照ください。
提供食材や提供方法によって規制や手続きが異なり、その種類も数多く、全てを把握することは実は簡単ではありません。
実際に計画や手続きを進める上では、予定している提供食材や提供方法をあらかじめ決めておき、管轄の保健所に事前相談するのが現実的です。
ここでは、バーベキュー食材セット(主に肉、魚、野菜)を宿泊客に”販売”し、宿泊客自らがバーベキューコンロで焼いて食べるケースを想定してみます。
【肉、魚】
肉や魚を“販売”する上でまず考えることは、「パックされた肉や魚をそのまま開封せず仕入れた状態のまま提供するかどうか」です。
もしパックされたままで提供するのであれば、宿側が手を加えないため食中毒などを介在させるリスクは低いと考えられます。そのため、改正法の下では許可ではなく「届出」で足りることになります。この届出の場合、保健所への手続きも簡易で、食品衛生法で求められる厳しい施設基準(調理場の区画など)が求められずに営業できることになります。
一方、パックされた肉や魚をそのまま提供するのではなく、開封して提供したり、パックされていない肉や魚を提供する場合は、食中毒などのリスクが高くなるため「許可」が必要になり、厳しい施設基準を満たさなければなりません。
宿の施設として許可の施設基準を満たせる場合には提供方法の幅が広がるでしょう。
【野菜】
野菜を”販売”すること自体、食品衛生法の改正前は特段の許認可などは不要でしたが、法改正により、「野菜果物販売業」としての届出が必要になりました。
この場合、「届出」なので、やはり施設基準もなく、手続きも簡易ですが、ご注意いただきたいのは、「調理」をしないことです。
(野菜に限らず肉でも魚でも)調理をするのであれば、飲食店営業許可など別の許可が必要になります。この飲食店営業としての「調理」については以下の定義が重要です。
「飲食店営業の対象となる「調理」とは、その場で客に飲食させるか、又は、短期間のうちに消費されることを前提として、一応摂食しうる状態に近くなった食品を変形したり他の食品を附加したり、あるいは調味を加えたりなどして飲食に最も適するように食品を加工成形することをいうこと。」
令和元年12月27日付け生食発1227第2号
一方、野菜の販売に附帯的に行うカットであれば「調理」にはあたらず、届出の範疇で可能とされています。よくある「カット野菜」「カット果物」の販売がこれにあたります。 (令和元年12月27日付け生食発1227第2号 参照)
そうなると、どの程度までの行為であれば「調理」にあたらないのかがポイントとなりますので、実際の提供方法なども含め、管轄の保健所にしっかり確認をすることをオススメします。
バーベキュー食材の提供について必要な手続きせずに行うと罰則もありますので、しっかりと手続きをするようにしましょう。
当事務所では、飲食店営業許可などの食品衛生法に関する申請・届出の手続きについてもご相談・代行を承っております。
(加々美)