在留資格「短期滞在」の更新はできるか?
日本において、観光や親族訪問などを目的に入国して短期間滞在する、いわゆる「短期滞在」の在留資格(一般的に“ビザ“と言うことがあります)では、最大90日の在留期間を指定されることになります。指定された在留期間を経過する前に原則としてその外国人は出国する必要があります。
しかし、入国当初の目的を達成できなかったり、コロナ禍などで出国自体が困難であるといった特殊な場合に、在留期間を更新をすることがあります。
入管庁のウェブサイトでは、
「 在留資格「短期滞在」に係る在留期間の更新は、原則として、人道上の真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情がある場合に認められるものであり、例えば、病気治療をする必要がある場合などがこれに当たります。」
としています。
この「人道上真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情」については、実務上、ある程度柔軟に判断されるようです。実際、当事務所で扱ったケースでも、本人の病気治療以外の理由で更新が許可されたことがあります。
なお、この「人道上真にやむをえない事情又はこれに相当する特別な事情」というものは、入管法の条文に書かれているものではないものの、私見では、在留期間更新について規定する入管法21条3項の「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があるとき」の重要な判断要素という理解です。
(一方、在留資格変更許可についての入管法20条3項但し書きにおいては、「やむを得ない特別の事情に基づくもの」との明文があり、この解釈についていくつかの裁判例もあるところです。)
「短期滞在」で在留期間の更新の申請をする場合には、更新の必要があることや、滞在費用・帰国旅費・航空券の確保等を具体的に説明・立証することが重要です。
また、当然ですが、国内で就労をするためといった、「短期滞在」で認められる活動以外の理由では認められません。(短期商用についてはこちらの記事を参照してください。)
【提出書類】入管庁ウェブサイト公式より
- 在留期間更新許可申請書 1通
- パスポート 提示
- 「短期滞在」の在留資格に係る活動を引き続き必要とする理由を明らかにする資料 1通 ※ 例えば、病気治療を理由とする場合、診断書を提出願います。
- 日本に入国してから現在までの活動を説明する資料(書式自由、具体的に記載願います。) 1通
- 滞在中の経費を支弁できることを証する資料及び出国のための手段又は経費を支弁できることを証する資料 1通 ※ 例えば、預金残高証明書や帰国用航空券を提出願います。
【申請手数料】4,000円(許可された場合)
【オンライン申請】不可
(加々美)